新年のご挨拶
国臨協東海北陸支部 支部長
天竜病院 前越 大
新年あけましておめでとうございます。
支部会員の皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えのことと存じます。また、平素より国立病院東海北陸支部の活動にご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、昨年も引き続き新型コロナウイルスが猛威を振い、オミクロン株は「BA.2」「BA.2.75」「BA.4」「BA.5」「XE」「BQ.1」などと呼ばれる変異株が発生し、特に「BA.5」は変異ウイルスの中で最も感染拡大が早く2022年7月21日に全国感染者数18万6000人余り、2022年8月に1日の新規感染者数が40,000人程と、過去最高を記録しました。各施設において新型コロナウイルス検査の資材、試薬の不足により資材の確保、検査体制には特にご尽力された事とご推察いたします。採血管や消耗品の検査資材、試薬の確保は今後懸念されるインフルエンザと第8波の同時流行に向けての課題と考えます。10月には新規感染者が3,800人程にまで下がり、熊本においては3年ぶりとなる対面式での現地開催にて第76回国立病院総合医学会が無事開催されました。第8波は市中に残っていた「BA.5」が再燃している状態だと考えられ、現在増加もしくは横ばいですが、今後の主流になりうるオミクロン株の一種「BQ.1」系統などの新たな変異ウイルスが増え始めようとしており、さらに拡大することが懸念されています。今後2価ワクチンの普及により平常を取り戻していくことを切に希望いたします。
Withコロナの時代となり、皆様の生活や学会活動も新たなる形式へと変革してきています。昨年は東海北陸支部におきましても様々な工夫により活動を活発に行って参りました。2022年6月4日に第30回東海北陸支部春季学術研修会を開催し、「AIを利用した今後の臨床検査技師の在り方と新人教育」と題して、「病院検査室業務・教育研修に取り入れやすいAI(人工知能)技術?一般検査分野での活用事例」をアークレイ マーケティング株式会社 高木慎一郎氏に、「バーチャルスライドの活用方法と今後の期待」をライカマイクロシステムズ株式会社 坂口信貴氏にご講演頂きました。名古屋医療センター臨床検査科医師 山本涼子先生には「研修医が検査について疑問に思っていること」と題して、日常における医師・技師の疑問に対してそれぞれの目線に立ち、事前に会員より集めた質問も含めわかりやすく説明、ご講演して頂きました。2022年9月10日、第30回東海北陸支部学会を開催し、株式会社アール&キャリア専任講師 浜田幸子先生に「接遇・クレーム研修」を支部学会では若手技師5人の方に発表して頂きました。昨年からの継続事業である国立医療機関の要求事項28項目につきましては一昨年に引き続き自主点検を各施設に行って頂き、本会報にて集計、分析を報告させて頂きました。
今年の課題としましては、医師の時間外労働に対して上限規制が始まる2024年4月が迫るなか、タスク・シフト/シェアを推進するための環境整備が重点課題として各施設が準備に追われています。限られた人員で業務を効率よく回すために必要なのは、手順をパターン化しマニュアルで最適化された業務プロセスの構築が必要だと考えます。すでに業務マニュアルが存在している場合でも、タスク・シフト/シェアの導入によって業務体制が変更すると思われますので、今一度マニュアルが最適な形で整備されているかどうか、しっかり見直す必要があると考えます。しかし医療機関の規模によっては追加で人員を配置するのは難しく、実施する際も多くの課題に直面し乗り越えるための工夫が必要です。また推進する業務に、「細胞診や超音波検査等の検査所見の記載」、「生検材料標本、特殊染色標本、免疫染色標本等の所見の報告書の作成」、「病理診断における手術検体等の切り出し」、「画像解析システムの操作等」、「病理解剖」など病理検査に関連する業務が多く含まれるなか、診断までの一連の流れの作業で病理医の作業は診断に不可欠な物で、タスク・シフトするためには、認定病理検査技師などの資格を求められる声もあります。今後、タスク・シフト/シェアを円滑に進めるために、タスク・シフト/シェアの講習会とは別に、各種資格認定を個人が取得する必要性が考えられます。
数年見送られている立ち入り検査においては、医療法改正後の現地による監査がいまだ行われていません。改正内容では「検査の精度の確保に係る責任者および遺伝子関連・染色体検査の精度の確保に係る責任者の配置」、「各種標準作業書・日誌等の作成、内部、外部精度管理の実施」、「精度を担保するための適切な研修」の記録が求められています。今一度、各施設書類に不備がないか内部監査を実施し、確認が必要であると考えます。内部監査は、業務の成果や効率性を保証するものではなく、マニュアル等の「整備」「運用」状況をチェックして、業務がマニュアル通りに行われているかをチェックすることです。第31回春季学術研修会では内部監査の実施について研修会を行う予定で、役員一同鋭意企画中です。
国臨協は会員皆様の組織であり、その活動をより良いものとするためには、会員一人ひとりに寄り添い皆さまの声を大切にし、有益となる活動を行うことで機構に携わる臨床検査の組織としての立ち位置が明確になります。そのためにも技師長協議会との協同、理事役員の充実した活動計画と円滑な各部活動を目指します。また、Webを利用した活動の進捗管理と情報提供を行うにあたり、会員皆様のご理解とご協力を得られることが活力となり、組織力の底上げに繋がると確信しています。支部役員も一丸となり、精力的な活動に務めてまいりますので、引き続き、皆様からのご支援ご協力を心からお願い申し上げ新年の挨拶とさせていただきます。
新年のご挨拶
国臨協東海北陸支部 支部長
天竜病院 前越 大
新年あけましておめでとうございます。
支部会員の皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えのことと存じます。また、平素より国立病院東海北陸支部の活動にご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
新年のあいさつ
国立病院臨床検査技師協会東海北陸支部
支部長 中島 美由紀
支部長就任挨拶
国臨協東海北陸支部長 大森 健彦
向夏の候、時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は国臨協東海北陸支部の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
平成29年6月3日、国臨協東海北陸支部定期総会が開催され、会員の皆様から信任をいただき東海北陸支部長を仰せつかりました。微力とは思いますが、会員の皆様とともに国臨協が発展しますよう努めてまいります。
また、支部活動計画にもとづき、役員一同、事業実現へ向けて
支部長挨拶
平成28年度採用の皆さん、臨床検査技師国家試験の合格並びに国立病院機構、ナショナルセンターへの就職おめでとうございます。新たな気持ちでこの日を迎えられ歩みだされたことに歓迎の意を表します。これからは学生気分を一新し、医療人として日々精進し、施設で必要とされる臨床検査技師になってください。
医療の一旦を担う臨床検査技師とは言え、患者様の命を預かる責任と使命感を認識し、そのために医療技術の習得と将来を読む目を身につけ、積極的な研修参加や学会参加、他部門との連携、社会人としての人格形成も必須となります。
本年は、診療報酬改定年にあたり、検査部門では検体検査部門を中心に減点が見られましたが、一方で細菌検査培養同定、遺伝子部門、静脈採取料(採血)では増点があり、検査科全体では収支差は殆どありませんでした。検査の自動化が進む中で、チーム医療に関わる検査・オーダーメイド医療・患者様とのかかわりのある検査には加点ないし検査点数の据え置きという措置がなされる傾向が見受けられ、より付加価値のあるデータの提供とその確かさが求められています。今後は、2025年問題(団塊の世代が後期高齢者となり、4人に一人が75歳以上となるので医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障のバランスがくずれること)により、検査においては在宅医療に向けた検査に視線が向けられ、新たな検査技師のフィールドが形成されることが示唆されています。政令では検体採取業務に対する受講が義務付けられ、検査説明する意図はこうした未来への先駆的な業務でもあります。機械に使われるのではなく機械を使いこなしてこそ技師としての力量が発揮されます。
今回の改正で検査業界にとって大きな目玉は国際標準検査加算の新設です。臨床検査室の品質と能力に関する国際規格で定められた要件を第三者機関のISO(国際標準化機構)やCAP(アメリカ臨床病理協会)によって精度保証を認定する仕組みについて診療報酬で評価されることになりました。
精度保証された検査結果とは、例えれば「この大根は美味しい」と漠然に伝えた場合を考えてみましょう。その大根はどの様なマニュアルを用いて栽培され、どういった成分が配合された肥料をどこから購入しどれだけの量と期間で与えたか、販売までの温度管理、流通経路はどうなのか、不味いという意見が聞かれたときにどの様に対応し原因を遡って調査し、改善・改良するか、その確認を誰が行い、誰が責任を持つか等々。これらを謳った上で販売されてはじめて消費者、料亭から認められ自信をもって大根を商品化し、信用されるのです。
いわば、ISO15189はデータという商品の安定を保証するツールとなっているのです。これを実施して得られる効果は患者様に還元されますが、今後開発されるであろう新薬、治療評価など、シビアなデータ評価が必要な場合において効力を持ちます。臨床検査技師が臨床へ提供するデータはこうした重みと責任が伴わないといけないのです。
登山においても誰もが知るように一気に駆け上る近道はなく、臨床検査の専門家に到達するには普段から自分自身を切磋琢磨し、自己啓発しながら継続しなければなりません。 経験上ですが、出来ないことを指導・説明を受けてできるようにする、一人で責任を持って出来るようになる、他に良い方法がないかリサーチする、施設でそれを試し取り入れてみる、指導者としてそれを後輩に伝える、学会や講演会でそうした経験とノウハウを広める、そうした分野を多数もつ、熟練度の物差しとなる資格を取得する。そこに人が集まり高尚な話し合いが持て、信頼が得られ、豊かな働き甲斐のある生活が生まれると思います。
皆さんの人生、先は長く、医療の進歩は目覚ましく臨床検査技師の役割は大きく変わることも考えられます。こうした流れにしっかり乗り、皆さん自信もゆっくりかつ確実に歩んでいって下さい。
6月には国立病院臨床検査技師協会東海北陸支部(国臨協東海北陸支部)の研修会が三重県で開催されます。新人の皆さんには是非とも参加いただきあらためて歓迎させていただきたいと思います。