第24回国臨協東海北陸支部春季学術研修会 参加のお礼
6月4日の第24回春季学術研修会に多数ご参加頂き、ありがとうございました。
今回は三重ブロックの担当で約100名の参加をいただき開催となり、新たに8名の方が仲間となられました。
支部では昨年同様、学術的活動を中心に(1)研修会、(2)支部学会、(3)会報での情報提供、(4)HPによる勉強会情報を公開しています。本部とも連携し(1)臨床検査相談、(2)臨床検査の標準化、(3)サンプルSOP の作成、(4)臨床検査試薬共同入札への支援等を行なっています。
4月の診療報酬改定では検体系では鼻腔咽頭拭い液採取料や国際標準検体管理加算が、細菌検査では細菌培養同定検査が、生理部門では脳波や超音波エラストグラフィーによる加算が、病理ではALK融合蛋白やセルブロック法など付加価値のある検査、人手のかかる検査を中心に加点、増点がなされたと思います。これらを見渡しますと、チーム医療に伴う検査への貢献、2025年問題に対応した医療改革、ゲノム解析に関わる臨床検査技術の発展等、医療は治療を中心とした医学から予防医学へと流れは進んでいます。臨床検査技師としてこの流れにのることは将来の職域の確保であり地位向上のための足がかりともなります。このためにも日々精進し、情報収集し、機器やシステムに使われるのではなく機器やシステムを使いこなせるスキルを身につけることが大切になってきます。
今回の研修会では私、支部長の2年越しの希望でありました遺伝子鑑定について科警研の笠井健太郎先生を招聘し、ご講演頂きました。2月に科警研に見学させて頂きましたが機器によっては臨床検査室を思わせるラインナップと検査内容に臨床検査との共通性、必要性が明確となり本日の講演が有意義なものになるものと思いました。
R-CPCにおきましては多忙な中、鈴鹿中央総合病院副院長 村田哲也 先生をお招きし、症例検討を行って頂きました。開催後のアンケートからもCPCの継続希望は多く、再計画出来そうです。臨床検査技師として避けては通れないデータの読みを部門ごとに時系列や限られた検査結果から推理し、診断までの考え方を学ぶことは臨床検査技師として根幹となることですし医師にSuggestionできるチャンスです。
昨年と同様、医師会精度管理報告もRAを中心に分析頂き、報告して頂きました。今回は大きなエラーはありませんでしたが精度管理の維持、分析は臨床検査技師としての生命線でありますので継続して開催したいと思います。
研修後は懇親会にて仲間との再開や新たな出会いを作り盛り上がって頂きました。国臨協東海北陸支部に仲間入りし、臨床検査技師としてのスタートがよきものとなったことと思います。今後は支部活動にも協力頂き、一人前の技師となれるよう頑張って頂きたいです。同期の仲間のこの出会いを大切にし、この先、切磋琢磨しながら互いによきライバルであり相談者となって下さい。
最後にこの会を開催するにあたり、昨年よりご準備頂きました三重ブロックの皆様に厚く御礼申し上げます。
平成28年6月14日
支部長 矢田 啓二
第24回春季学術研修会のご案内
平素は支部活動にご理解、ご協力いただき誠にありがとうございます。
さて、春季学術研修会を三重ブロックの担当で以下の内容で開催いたします。
多数の会員の方々にご参加頂きます様よろしくお願いいたします。
日 時 : 平成28年6月4日(土曜日)13:00-
場 所 : プラザ洞津 三重県津市新町1-6-28 TEL:059-227-3291
近鉄津新町駅下車徒歩2分
12:30 受付開始
13:00 開会挨拶
<学術講演1>司会:国臨協東海北陸支部 学術部長 中島美由紀
13:05 「Reversed-CPC データを読む」
鈴鹿中央総合病院 副院長 村田 哲也先生
14:20 休憩
<研修会1>司会:国臨協東海北陸支部 学術常任理事 藤本龍也
14:30 「第49回日本医師会精度管理報告」
小長谷敏博 下枝弘和 宮岡秀和 内山雅宇 棚橋真規夫
15:10 休憩
<学術講演2>司会:国臨協東海北陸支部 学術部長 中島美由紀
15:20「警察における遺伝子検査と鑑定 -対象検体の違い-」
科学警察研究所 特任研究官 笠井賢太郎先生
16:50 休憩
<意見交換会>
17:00 - 19:00 意見交換会
会場:プラザ洞津 三重県津市新町1-6-28 TEL:059-227-3291
会費:3500円予定
支部長挨拶
平成28年度採用の皆さん、臨床検査技師国家試験の合格並びに国立病院機構、ナショナルセンターへの就職おめでとうございます。新たな気持ちでこの日を迎えられ歩みだされたことに歓迎の意を表します。これからは学生気分を一新し、医療人として日々精進し、施設で必要とされる臨床検査技師になってください。
医療の一旦を担う臨床検査技師とは言え、患者様の命を預かる責任と使命感を認識し、そのために医療技術の習得と将来を読む目を身につけ、積極的な研修参加や学会参加、他部門との連携、社会人としての人格形成も必須となります。
本年は、診療報酬改定年にあたり、検査部門では検体検査部門を中心に減点が見られましたが、一方で細菌検査培養同定、遺伝子部門、静脈採取料(採血)では増点があり、検査科全体では収支差は殆どありませんでした。検査の自動化が進む中で、チーム医療に関わる検査・オーダーメイド医療・患者様とのかかわりのある検査には加点ないし検査点数の据え置きという措置がなされる傾向が見受けられ、より付加価値のあるデータの提供とその確かさが求められています。今後は、2025年問題(団塊の世代が後期高齢者となり、4人に一人が75歳以上となるので医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障のバランスがくずれること)により、検査においては在宅医療に向けた検査に視線が向けられ、新たな検査技師のフィールドが形成されることが示唆されています。政令では検体採取業務に対する受講が義務付けられ、検査説明する意図はこうした未来への先駆的な業務でもあります。機械に使われるのではなく機械を使いこなしてこそ技師としての力量が発揮されます。
今回の改正で検査業界にとって大きな目玉は国際標準検査加算の新設です。臨床検査室の品質と能力に関する国際規格で定められた要件を第三者機関のISO(国際標準化機構)やCAP(アメリカ臨床病理協会)によって精度保証を認定する仕組みについて診療報酬で評価されることになりました。
精度保証された検査結果とは、例えれば「この大根は美味しい」と漠然に伝えた場合を考えてみましょう。その大根はどの様なマニュアルを用いて栽培され、どういった成分が配合された肥料をどこから購入しどれだけの量と期間で与えたか、販売までの温度管理、流通経路はどうなのか、不味いという意見が聞かれたときにどの様に対応し原因を遡って調査し、改善・改良するか、その確認を誰が行い、誰が責任を持つか等々。これらを謳った上で販売されてはじめて消費者、料亭から認められ自信をもって大根を商品化し、信用されるのです。
いわば、ISO15189はデータという商品の安定を保証するツールとなっているのです。これを実施して得られる効果は患者様に還元されますが、今後開発されるであろう新薬、治療評価など、シビアなデータ評価が必要な場合において効力を持ちます。臨床検査技師が臨床へ提供するデータはこうした重みと責任が伴わないといけないのです。
登山においても誰もが知るように一気に駆け上る近道はなく、臨床検査の専門家に到達するには普段から自分自身を切磋琢磨し、自己啓発しながら継続しなければなりません。 経験上ですが、出来ないことを指導・説明を受けてできるようにする、一人で責任を持って出来るようになる、他に良い方法がないかリサーチする、施設でそれを試し取り入れてみる、指導者としてそれを後輩に伝える、学会や講演会でそうした経験とノウハウを広める、そうした分野を多数もつ、熟練度の物差しとなる資格を取得する。そこに人が集まり高尚な話し合いが持て、信頼が得られ、豊かな働き甲斐のある生活が生まれると思います。
皆さんの人生、先は長く、医療の進歩は目覚ましく臨床検査技師の役割は大きく変わることも考えられます。こうした流れにしっかり乗り、皆さん自信もゆっくりかつ確実に歩んでいって下さい。
6月には国立病院臨床検査技師協会東海北陸支部(国臨協東海北陸支部)の研修会が三重県で開催されます。新人の皆さんには是非とも参加いただきあらためて歓迎させていただきたいと思います。
Next Step 心電図を読んで心エコーを究める(金原出版)
国立がん研究センター中央病院の中島 哲 臨床検査技師長が執筆された医学書籍が刊行されましたのでご紹介させていただきます。
本書の内容については、心電図と心エコーが同時に理解出来る、心電図・心エコーのコラボ本と伺っております。
解説
心疾患の診断は非常に困難で、心エコーは目的地がわからないドライブのような難しい検査です。
この本は、そんな心エコーを正確にナビゲートするスキルを身につけるための本です。鍵は、心疾患の「地図」としての心電図の読図。地図=心電図を読み解くことで、目的地=心疾患を推測することができ、ドライブ=心エコーを正確に進めることができるように、3つのStep構成で詳細に解説します。
これから始める臨床化学(医歯薬出版)
北海道がんセンターの志保裕行 臨床検査技師長、同センターの若月 香織 主任技師及び旭川医療センターの玉川 進 臨床検査部長が執筆された臨床化学の医学書籍が刊行されましたのでご紹介させていただきます。
解説
臨床化学検査の実務に適した入門書!
●自動化が著しい臨床化学分野では、分析装置で測定さえすれば信頼できるデータが得られると誤解されているケースが少なくない。しかし、検査精度を含めた信頼できるデータを得るためには知識と経験を要する。
●本書では、生化学・免疫検査における装置の原理、測定原理の理解、精度管理等に必要な統計学の基本、臨床的知識(検査値のもつ意味)、陥りやすいピットフォールなどについてビジュアルに解説。
●新人や専門外の臨床検査技師のための実用的入門書。
●臨床化学の実用的な入門書。自動分析装置、精度保証、測定体系、測定原理、遺伝子検査について解説。初心者を対象として、実際の現場で役立つ知識を「わかばさんへアドバイス」として盛り込む。事例集も掲載。(TRC MARC)